1月9日 最後まで油断のならないホーチミン
いよいよ今日は日本へ帰国だ。街の雰囲気に慣れた頃には帰国しなければならないのが勤め人の短い旅
の定め。日程を気にせず旅することができるのはいつになったらできるのだろう。
ホーチミンに着いた時は安全なタクシー会社を選んで空港から市内に入ったが、今日は路線バスで空港
へ戻ることにした。
サイゴン川のフェリー乗り場の近くのバス停で152番のバスを待つ。
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通勤時間帯だったのでひっきりなしにバスがやってきては乗客を拾っていく。乗客が手を挙げて合図し
ないとバスは止まってくれない。地元の人は視力がいいのか停留所までまだ距離のあるところを走ってい
るバスの中から自分が乗るバスの番号を目ざとく見つけて手を振って合図する。
中にはスピードを落とすだけでちゃんと停車せず、開いた乗車口の扉に手をかけた乗客をバスの車掌が
中にはスピードを落とすだけでちゃんと停車せず、開いた乗車口の扉に手をかけた乗客をバスの車掌が
中から引っ張り上げ、そのままスピードを上げて走り去るバスもあった。
空港行きのバスは客はまばらだった。バスには運転手のほかに、女性の車掌と男性の車掌が乗ってい
た。二人とも暇そうでカーラジオを大音量で鳴らし、運転手のすぐ後ろの席に座ったまま談笑している。
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それでも女性の車掌は客が載ってくると料金を受け取る仕事をしていたが、右の席に座っている男性車
掌は仕事らしきことはしていない。
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・・・と思っていたら、右折するときや停留所に止まるためにバスを右に寄せるときに、やおら窓から身
を乗り出し、ウンカの如く道を走っているバイクを手で制していた。ウインカーだけではバイクは路線を
譲っててくれないようだ。乗客を引っ張りあげるのも彼の仕事なのだろう。
市内から約30分でタン・ソン・ニャット空港へ到着。いよいよこれでホーチミンともお別れだ。
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無事チェックインも済まし、通路側の席も確保。土産は前日に買っておいたし、小さな空港で売店や免
税店も貧弱なのでさっさと出国手続きを済まして搭乗待合室へと進む。
狭い待合室でしばらく待っているとき、何気なく出発便が表示されているモニターを見るといつの間に
か搭乗口が変更になっていた。
嫌な予感がしたが、新しい搭乗口の前で待っていると、今度は出発時間遅延の表示がされた。帰りの便
は台北桃園国際空港での乗継時間が65分しかないので少し不安に思っていたのだが・・・。
最終的に出発は予定時刻より1時間も遅れるとのアナウンスがあり、台北での乗継時間が吹き飛んでし
まったことがわかった。
んと名古屋行きの飛行機に乗れるのか尋ると笑顔で「You can use this ticket.」
錆付いた英語で訊いたので小生の不安な点を理解しての回答なのかいまひとつ不明であった。
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チェックインは台北→名古屋の分まで済んでいるので、多分到着が遅れても飛行機は待っていてくれる
と思うのだが・・・。
ここでじたばたしても仕方がないので成り行きにまかせるしかない。とはいえ、万が一帰国が遅れるこ
ともありえるか、とレンタルの携帯電話で自宅へ連絡し家人に状況を説明する。
万が一のトラブルのときの連絡用に借りてきた携帯電話だがこんな形で使うはめになるとは・・・。
狭い待合室は乗客でますます混み合ってきた。
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結局、予定時刻より1時間15分も遅れて台北に向けて出発した。
機内では出発が遅延したことが乗継にどういう影響があるのか、ないのかについては何の説明もなかっ
た・・・。
台北桃園国際空港に到着するやいなや、大丈夫だろうとは思ってもつい気がせいてしまい、名古屋行き
の搭乗口まで走って行ってしまった。搭乗口近くに飛行機が見えたときは正直ホットした。
搭乗口で迎えてくれた女性係員に「last passenger?」と尋ねると、彼女はニッコリ微笑んで
「No!」 ほかにも遅れてくる乗客はいるのだ。
荷物を抱えて走ったので、座席に着いても息が上がってまま。汗もなかなかひかない。見かねた男性客
室乗務員が冷たい水を持ってきてくれた。今回の旅で一番うまい飲み物だったかもしれない。
最後の最後でドタバタするとは・・・ホーチミンはやっぱり油断のならない街なのだ。