パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

イスタンブール散歩行 10 グランバザール

 トラム・フェリー・地下鉄・バスなどイスタンブール市内の公共交通機関は,いずれも料金は均一の1.3リラ(約130円)である。切符は紙製のものではなく、コインの形をしたジェトンを停留所のそばにある白いブースで買い、自動改札機に放り込むのだ。

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 トラムやバスに乗るたびにジェトンを買うのは面倒だし、これから本格的に市内を徘徊するので便利な「アクビル」を買うことにした。

 「アクビル」とはスイカやイコカと同じプリペイドの切符で、お金をチャージできるタイプのものだ。形はカード型ではなく小さなプラスチックの把手の先にボタン電池みたいなものが着いていて、これを改札機にあるやはり丸いボタンみたいなところに押し付けるのである。

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 イスタンブール市交通局はアクビルの普及を図るために、アクビルを使うとジェトンで乗車するより1回あたりの料金を安くし、乗継ぎの場合も料金が安くするなどお得なものにしているらしい。観光客だけでなく市民でも公共交通機関を利用する人の必須アイテムといえる。

 アクビルを買おうとトラムのスルタンアフメット停留所そばのブースにいくと中に人がいない。隣に自動販売機らしきものもあったが、故障のようで動かない。

 ウロウロしているとヒゲをはやしたオジサンが「アクビル?」と訊いてくる。そうだと答えるとキオスクで売っているから連れて行ってやると言う。ガイドブックにはキオスクで売っているとは載っていなかったが、オジサンに案内されたキオスクでは確かに売っていた。デポジットが6リラ、チャージを14リラにして20リラ(約2000円)で買うことができた。デポジットはアクビルを返せば払い戻しされるが、もちろん土産にするので返すつもりはない。

 オジサンにお礼をいって次の目的地のグランバザールに向かって歩いていくと、オジサンが着いてくる…。
 「日本人か?」「どこからきたのか?東京か?」「大阪で親戚が働いている」「一人できたのか?」…。オジサンのおかげでアクビルを買うことができたので邪険にはできない。
 「平日の午前中なのにこのオジサン仕事ないのかね」と訝しく思いながら適当に答えていたが、なんだか怪しい雰囲気なので再び礼をいって彼を振り切り、一人ですたすたと歩いていった。

 オジサンと別れホッとして道端で地図を見ていると、「これからどこへ行くのだ?」と声がかかる。何気なく顔をあげるとさっきのオジサンが目の前に立っていた。不意をつかれたのでうっかり「グラン・バザール・イク・アルネ」と答えると、待ってましたとばかり、「そうか、そうか。では入口まで連れてってあげよう」とまた着いてくる。道案内は助かるのだが…。

 トルコの人はフレンドリーであることは今朝の数時間だけでもわかったが、それにしてもこのオジサンは度が過ぎているような…。

 後をつけられていたのかと思うとグランバザールに行くまで気乗りのしない会話が続く。グランバザールの門の近くになると、オジサンはやおら絨毯の話題を始め、名刺を差し出した。やっぱりこのオジサンは絨毯屋の客引きだったのだ。
 だが、話しているうちに「こいつは見込みがない」と思ったのか、強引に店に連れて行くようなことはせず「次回はイスタンブールに奥さんと一緒においで。見るだけでもいいから店に来てくれ。チャイで歓迎するから」とグランバザールの門の前で解放してくれた。

 案外気弱な客引きだったのかもしれない。それとも小生がよっぽど金を持っていない、と値踏みされたのか…。

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 グラン・バザールはトルコ語ではKapalı Çalşıと書き「屋根付きの市場」という意味である。中近東で最大規模のバザールだそうだ。中に入ると意外に広い大通りがあり、そこから何本もの細い道が通っている。4000軒を超える店がひしめき合っている。最初は歩いていると道に迷いそうだったが、気がつくと大通りの上には行き先を示す看板が設置されていた。

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 大通りに面した店はそうでもないが、細い通りに入るととたんに店員から声がかかってくる。達者な日本語であるが、中には「アニョンハセヨー!」「ニーハオ!」と声がかかることも。それだけ韓国や中国の観光客も増えているのだろう。ここの店は観光客向けで高いといわれるので買わずに見るだけにした。でもいかにも「中近東に来た」と感じさせる場所ではある。