パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

イスタンブール散歩行 9 地下宮殿

  アヤ・ソフィアと四つ角を挟んで対角のところに小さな建物がポツンと建っている。一見するときれいな公衆トイ  レのように見えるが、これが「地下宮殿」の入口の建物である。

イスタンブールの旧市街では何ヶ所もの地下の貯水池が発見されている。この「地下宮殿」もそのひとつで4世紀から6世紀ごろに造られたものだそうだ。かつて水は少し離れたヴァレンス水道橋からここへと引かれていたという。

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入口で入場料(ここも10YTLもする!)を払って狭い階段を少し下りるともうそこが貯水池になっていた。もっと深い地下へ潜ると思っていたので心の準備ができないままに「宮殿」と向き合うことになった。
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貯水池は縦140m,横80m,高さ8mとされているが、数字以上に広く感じる。アーチ型の天井とたくさんの柱がその天井を支えている姿は確かに宮殿のようではある。

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水面をよく見ると魚がいた。泳いでいるというよりはじっと動かずに浮いていた。かなり大きな魚もいた。これでは宮殿というよりは釣堀のようだ。もちろん釣ることは禁じられているが、これらの魚はいったいどこからやってきたのだろう。

ずっと昔にイスタンブールを舞台にしたショーン・コネリー主演の映画「007 ロシアより愛をこめて」の中でコネリー扮するジェイムズ・ボンドが地下水路を通ってソ連大使館の様子を探りにいくシーンを見た記憶がある。そのシーンにこの地下宮殿がロケ地として使われたのだ。映画をみたときはそのようなことは知らず本当の水路かと思った記憶があるが、実際には前記のような広さの貯水池なので他所の場所にいけるわけではないのだ。

内部は水面の上に通路が設置されている。順路に沿って歩いていくと、ぐるりと一回りして戻ってくるようになっている。途中には舞台もあってコンサートも開かれるようだ。たしかに音響効果は抜群の会場となるだろう。

  1984年の大改修で深い泥を取り除いたところ、入口から左側の奥の柱の支えとしてメドゥーサの首を刻んだ  石が使われているのが発見された。以来観光の目玉のひとつになっている。 
見た者を石にしてしまう恐ろしいメドゥーサだが、ライトアップされた表情はやさしく微笑んで観光客を歓迎しているかのようだ。

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