裁判所に・・・
リタイアしたら現役の時にはなかなかチャンスがなくて出来なかったことをしてみたいな、と思ってはいました。
長期の海外一人旅もそのひとつですね。
そのまたひとつが・・・裁判でした。
もちろん当事者ではなくて傍聴ですよ。
恥ずかしながら一応亜法学部の出身なので学生時代にいけばよさそうなものの、不勉強で一度も行くことがありませんでした。
ということで先日、某裁判所に行ってみました。
裁判所のHPを見ると特に予約もなく傍聴できるとは書いてありましたが・・・
実際受付も何にも通す必要はありませんでした。
1階のフロア案内掲示で刑事裁判を担当する法廷を確認し、該当の法廷の前に行くと、今日の公判予定が書かれています。開廷時刻、事件名、被告名、裁判官名、書記官名が記載されています。
電光掲示で「開廷中」との表示があり、表示の隣に傍聴にあたっての注意事項がいくつか書かれていますが、特に難しいことはありません。
廊下に面して扉が二つあり、一つが関係者入口。もうひとつが傍聴入口です。
ちょっとドキドキしながら傍聴入口の扉をそっと開けると、椅子席がすぐ目に入ります。傍聴席です。
席は30席。すぐ眼の前が法廷です。思っていたよりこじんまりした法廷でした。
裁判所玄関から傍聴席に着くまで何のお咎めも誰何もなく、実にスムーズに傍聴できることがわかりました。
もっとも重大事件など傍聴人が多数押し寄せる場合は傍聴券の抽選がありますが、普通の事件ではそんなことはないようですね。この日も傍聴席はガラガラでした。
途中の出入りも自由です。
さて、席についてみるとすでに公判は始まっていてました。
女性の声がしていましたが・・・
こちらを向いて一段高い席に座って今話をしているのが裁判官でした。若い女性が一人だけでした。
裁判官の前の一段低い席に男性書記官が一人。
向かって右側が検察官席。こちらも若い女性が一人だけ。
左側が弁護人席。こちらは中年の男性でした。
傍聴席の前に青い制服をきた刑務官?が2人座り、裁判官の正面の席に傍聴席にお尻を向けて青い服をきた白髪交じりの老人が立って裁判官から質問を受けています。
この人が被告です。
この事件は刑務所を出所して間もない前科沢山の被告がまた性懲りもなくスーパーで万引き=窃盗をした事件です。
売り場でバナナの包装を引きはがしてそのままむしゃむしゃ食べる、という「大胆で」「悪質」な事件です。被害額は約300円。
なんだか気の抜けるような事件ですが、前科がたくさんあり反省も乏しいとみられ、若い女性の検察官は論告求刑で早口で懲役刑を求刑します。
次の裁判もそうでしたが、1回目の公判で罪状認否、証拠調べ、検察側論告、弁護側尋問まですべて終わって結審、その場でカレンダーと相談して判決期日を決めていました。
なんだか定型パターンの流れ作業みたいな感じで進んでいました。
各席にはマイクがついていて裁判官・検察官・弁護人・被告の声はよく聞こえます。
裁判官が気軽に被告に質問するのが印象的でした。女性裁判官のせいか言葉使いも丁寧です。
もっとも被告の反省度合を確認する質問の際に「あなたまた刑務所に行くことになるでしょうが・・・」なんてことも言ってましたけど。
検察官の論告も弁護側の弁論も書面にしたものをその場で書記官に渡し、書記官が裁判官と検察・弁護側双方に渡します。
検察官・弁護人それぞれが裁判官に促されてそれらの書面を読み上げるのですが、双方とも結構誤字・脱字があるようでその場での訂正が何度もありました。
裁判というとなんだかもっとピリピリした緊張感が溢れているものかと思ってましたが、妙な言い方ですが思っていたより人間臭いというか抜けているところもあるんだな、という感じがしました。
建物も法廷内もとても清潔で空調も利いていてなかなか居心地のいいところでした。ただし、傍聴人として居る場合にかぎりますけどね。
なんだか癖になりそう・・・。