パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

ピエタ

ローマのサン・ピエトロ大聖堂に入るとすぐ右側奥、防護用のガラスの向こうに安置されている有名な

ピエタ」はミケランジェロが20歳台ときの作品です。

キリストの遺体を抱く若々しい聖母マリアはまさに青年の作であることを感じさせますね。

それから約50年後、晩年に自分の墓所のために作成された同じ主題の作品は、肉眼では見えない大理石

の傷と固さに嫌気がさしたため、あるいは作品の完成を急ぐ督促にいらだったために自ら破壊し、弟子が

引き継いだと云われています。現在はフィレンツェの大聖堂付属美術館に展示されています。

https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/9f/17/yhamalfi532006/folder/1596375/img_1596375_21040369_0?2006-10-07

キリストを後ろから抱える老人の像は老いたミケランジェロ自身です。

老人のつぶれた鼻梁は曲がっており、たしかに若いとき絵画をめぐる論争のはてに、同僚に殴られ骨折し

たといわれる彼の曲がった鼻に良く似ているのです。

彫刻のことはよくわかりません。ただ50年の研鑚を経た芸術家の作品の表現の違いと深まりに驚嘆する

ばかりです。

ミケランジェロは、「彫刻というものは大理石の中に永遠に閉じ込められたイデアを、ただこの世に現前

させてやるにすぎない」という趣旨のことを語っていたそうです。

ミケランジェロによって冷たい大理石の中から解放された人々が、フィレンツェのあちこちに500年前

と変らぬ姿でたたずんでいるのですね。