イタリア美術の聖地を求めて
レスコ画がよく知られています。
入場するのに何時間も待たなければならなかったウフィッツィ美術館は、4回目にフィレンツェを訪れた
ときに予約制度ができたため、ようやくホテルに頼んで予約してもらい、ボッティチェリの「ヴィーナス
の誕生」や「プリマヴェーラ」とともに「荘厳の聖母」をゆっくり鑑賞することができました。
チアの間の小さな町パドヴァにやってきました。
この街には14世紀に建てられた小さなスクロヴェーニ礼拝堂があります。
この礼拝堂は、あの詩人ダンテに、こともあろうに「神曲」の中で批判された高利貸しの父の汚名をそそ
ぐために、息子のエンリコ・スクロヴェーニが建立したものだそうです。
奥行き20メートル、高さ13メートルの小さな礼拝堂の内壁は、ジョットが描いたキリストの生涯を綴
ったフレスコ画で埋め尽くされています。今ではこの小さな礼拝堂はイタリア美術の聖地の一つといわれ
ています。
説明書つきの大きな入場券を買い、前の組の観覧時間が終わるまで待合室で暫く待たされ、自分達の時
間がくると20人くらいがひと組になって礼拝堂の中に案内さました。
おそらく20分くらいの観覧時間だったはずですが、1303年から1305年にかけて描かれたキリス
トとマリアの生涯についてのフレスコ画を見つめていると、永遠の時間が過ぎていくような不思議な感覚
にとらわれました。
一つひとつのフレスコ画の場面も感動的なものが多いのですが、一番印象に残ったのが「深い青色」でし
た。
壁の一番上側と丸い天井が深い青色を使って描かれており、礼拝堂全体に強いインパクトを与えているの
す。
美術評論家のような批評は書けませんが、こんな小さな礼拝堂に世界中から訪れる人が絶えない理由だけ
はなんとなくわかったような気がしました。