馬六甲電飾力車繁盛記
アジアには客を乗せる台車を自転車に装着した乗り物がたくさんある。オランダ広場には観光客目当て
にそうした乗り物が何台もたむろしている。国や地域によってトライショー、シクロなどさまざまな名前
がつけられているが、マラッカでは台車の横に自転車がくっついてリキシャとよばれているようだ。
マラッカのリキシャの特徴は、作り物ではあるが色とりどりの花で車体が飾られ、実に華やか乗り物に
仕立てられていることである。
なかには、カー・オーディオ装置をくくりつけ、小さな車体には不釣合いな大音響を発しながら町を駆
け抜ける猛者もいる。 夜ともなると色とりどりの電球がきらびやかに車体を輝かせ、強烈なリズムと光を発しながら何台もの
リキシャが、街灯も薄暗い道を縦列を組んで進んでくるさまは、さながらマレーの夜を彩る流れ星のよう
だ、といったらいいすぎだろうか。
料金は基本的には交渉制で短い距離でも運んでくれるが、時間制で観光スポットを巡ることもできる。
最近の公定相場は40リンギ(=約1400円)だそうだ。
広場を歩いているとリキシャの運転手から声をかけられるが、断ってもベトナムのシクロのようにしつ
こくつきまとうことはない。実にあっさりしたものだ。それなりに観光客が乗ってくれるからだろう。
1台に大人2人までしか乗車できないので、団体観光客が何台ものリキシャを連ねて走っていく姿はな
かなか壮観である。
熱帯の暑さの中ではこうした乗り物でのんびりと移動するのがお似合いなのかもしれない。