パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

徳川美術館

 地獄のような名古屋の夏、休日に一人マンションにいると熱中症になりかねません。エアコンをかけっ

ぱなしでは来月の電気代の請求が恐ろしい。

 ということで7月29日(日)にカゴのついた自転車をキコキコいわせながら名古屋市東区徳川町にあ

徳川美術館に涼みにいってきました。

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 気候のいい頃は歩いて行ったこともありますが、さすがにこの暑さの中では歩くことはやめにしまし

た。

 国宝源氏物語絵巻で有名な徳川美術館尾張徳川家62万石に伝えられた数々の「大名道具」を収

蔵品として昭和10年に開館しました。

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 最近では隣接する庭園「徳川園」も復興整備され名古屋観光の一大スポットとなっています。

 今回の企画展は「天下取りへの道 戦国の武将たち」と題して、信玄・信長・秀吉・清正・家康などの

書状やゆかりの品が一斉に展示されていました。

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 展示品の中には「千鳥」という銘の青磁香炉もありました。小さな香炉の蓋に小さな千鳥の取っ手がつ

いているものです。秀吉が所蔵したと伝えられ、かの石川五右衛門が忍び込んだとき、この取っ手の千鳥

が鳴いて賊の侵入を知らせたという伝説のある香炉です。

 今回の展示の目玉は次の二つでした。

 1つ目は徳川家康三方ケ原戦役画像」です

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 三方ケ原の戦いで、家康軍が信玄軍にコテンパンにやっつけられ、ほうほうの体で逃げ帰ったとき自ら

の肖像を描かせ、後々までそばに置いて戒めとした有名な画です。目はカッと見開かれ、頬はこけ、左手

を顎に当て右手で組んだ足をつかむ独特のポーズをしています。
 
 大きな画を想像していたのですが、人物の大きさは盾30センチくらい幅20センチくらいの小さなも

ので掛け軸として装丁されていました。

 2つ目は織田信長書状 おね宛」です。

 個人所蔵のためにこれまでめったに公開されなかったものだそうです。この書状の特徴は信長が秀吉の

妻のおねに宛てた書状であり、私信でありながら天下布武の朱印が押されていることです。書状の横

幅は1メートルくらいはあるでしょうか。これも大きな掛け軸として装丁されていました。

 あて先は「藤きちらう をんなとも」(おねのことです)。署名は「のふ」(信長)と書かれており、

自筆の可能性もあるとのことです。書道には全く知識がないワタクシですが、実にのびのびした筆致に感

じました。

 書状で信長はおねから貰った品への礼を述べ、最近のおねがまた美しくなったなど褒めたあと「藤きち

らう れんれんふそくのむね申のよし こん五たうたん…」と最近秀吉がおねへの不満を述べていること

を「言語道断」であるとし、「いつかたをたつね候とも、それさまほとのは 又二たひかのはけ祢すみ

 あひもとめかたきあいた…」として、あの禿げネズミにはどこを探したっておねほどの女性を二度と迎

えることはできない、と秀吉の不明を叱っています。
 
 さらにおねに対しても、朗らかにふるまって嫉妬をおこさぬように、言いたいことも少し我慢するよう

にと諭しています。

 秀吉の仇名は「さる」が有名ですが、「禿げねずみ」ともいわれたようです。書状で残っているのは珍

しいようですね。

 さらに信長は秀吉にもこの書状を見せるように書いてあり、「天下布武」の印を押したのも、押印によ

り秀吉がこの手紙を「拝見」せざるをえなくなることを狙ったとの解釈もあります。

 まことに人情味溢れる文面であり、冷酷非情といわれた信長にもこんな一面があったのかと少し救われ

た気がしました。(手紙の文面は、実際は縦書き。写真不可のため解説文を筆写しましたので多少間違い

もあるかもしれませんのでご勘弁を。雰囲気を感じていただければ…)