パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

イスタンブール散歩行 4 やっぱり第二の難関は…

 アタチュルク空港に無事着陸し、機外へ出て順路にしたがってパスポートコントロールヘ。トルコは入国手続きに際して入国カードを書く必要はない。

 列の後ろから前の人の様子を見ているとパスポートを係官に渡すと何やら尋ねられているようだ。今まで訪れた国の入国審査では英会話のテキストにあるように係官から質問された経験はない。

 わが列の担当は若い女性であり入国審査官にしては珍しく笑顔で迎えてくれた。パスポートを渡すと確認のために名前を読み上げる。これが遠目には質問しているように見えたのだ。

 無事入国手続きを終え、荷物を受け取って出口へ。午後8時過ぎになっているが出口前は到着客を待つ人でいっぱい。名前を書いたカードをかざす迎えの人もたくさんいる。

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自分の名前の書いたカードを探すが…ない。もう一度ゆっくり人垣の前を歩きながら何枚ものカードを見たが…やはりない。

直前にホテルにメールで到着時間と便名を念押しするメールを入れ、ホテルからも確認の返事が来ていたのに…小生の名前を書いたカードを掲げた人は全く見当たらない。

 非常時用に海外で使える携帯電話をレンタルしてきたが、到着早々使う羽目になるとは…。もうこのあたりで「幸先が良い」などと思った昨晩の自分バカさ加減に対して腹が立ってきていた。

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ガイドブックにも載っているホテルなのでバッグからガイドブックを取り出してホテルに電話する。半ば興奮状態にあるのかガイドブックでなかなかホテルが掲載されているページが見つからずイライラがつのってきた。

電話口にホテルのフロントが出た。名前を言ってから迎えが来ていないことを告げると「予約はされていない!」と云う。イライラが爆発し、下手な英語のうえに声を荒げて「ナンドモ・メール・ウッタアルネ。ヨヤク・コンファーム・メール・モラッタアルヨ。セキニン・アンタ・アルネ!」とまくしたてると「部屋は空いているのでタクシーで来い!」と抜かす。

 コノヤロメ!と思ったもののそれ以上悪態をつく英語が思いつかない。仕方なくタクシー運転手に正確にホテルの場所を告げなければならないので、ガイドブックに載っているホテルの住所を告げて確認すると、なんと今度は住所まで違うと言い出したではないか!

 …何のことはない予約したのとは別のホテルに電話していたのだ。イラついていたうえに10年ぶりに電話で英語を使ったので最初に相手がホテル名を名乗ったのに聞き落としていたのだ。こちらもホテルの名前を言って確認したつもりだが、きっとひどい発音で相手も聞き取れなかったのだろう…。穴があったら入りたい心境で声のトーンを急に下げ、間違えたことを詫びて電話を切る。

 気落ちしながらもう一度ゆっくりガイドブックでホテルの番号を確認して電話する。今度は予約したホテルにちゃんとつながった。

「間違いなく迎えの男性がホテルに向かった。名前を大書したカードも持っている。渋滞でまだ着いていないかもしれないので暫く待ってくれ」とフロントの女性が云う。

 既に電話がつながっただけで充分と思いたくなるような心境になっており抗議する気力もなくなっていた。とにかく迎えに来るというので暫く出口あたりで待っていることだけ伝えて電話を切った。

 出口前にはまだ到着客と出会えていない迎えの人がだくさん待っている。何ども彼らの前を往復して掲げられたカードを見たがやはりまだ迎えは来ていない。

 そのうち男性が小生に近寄ってきて名前を尋ねてきた。この男性にはしばらくしてからまた名前を訊かれた。彼が持っているカードの名前を見ると、どこの国の人かは不明だが小生の名前とは似ても似つかない発音のはず。だがこの迎えの男性にとっては日本人の名前は聞き取りにくいらしく何度も訊き返してくる。彼氏とはお互いにそのあとも何ども擦れ違うので、表情や仕草で「まだ見つからないの?お気の毒に」とお互いに慰めあうようになった。

 出口に着いてからまもなく30分になろうとする頃、案内放送の中に自分の名前を聞き取ることができた。前後に何を言っていたかはよくわからなかったがインフォーメーションに行けば何かわかるだろう、と思って行ってみると果たして小生の名前を持った若い男性と行き当たることができた。

 男性に声をかけると“Oh ! Mr.○○○? Welcome to Istanbul!”と全く悪びれた様子もない。ようやく迎えに出会え、緊張がゆるむとともに疲れがドット押し寄せ文句を云う気力も失せ、案内されるがままに車に乗って空港を後にする。

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 空港から20分ほど走った頃だろうか右側に暗い海が見えてきた。マルマラ海だ。今度は前方にライトアップされたモスクが近づいてくる。男性が「Blue Mosque !」と教えてくれる。イスタンブールに来たのだ!という実感がようやく湧いてきた。