パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

イスタンブール散歩行 8 アヤ・ソフィア

 三世紀初頭,内戦状態にあったローマ帝国を再統合する際にローマ皇帝コンスタンティヌス帝が取った方策のひとつが新しい都市を建設して首都を移すことだった。
 これがその後東ローマ帝国ビザンチン帝国)の首都となったコンスタンティノポリスコンスタンティノープル)の名前の由来であり今のイスタンブールということになる。

 現代のローマのコンセルヴァトーリ美術館の中庭にはコンスタンティヌス帝のでっかい顔の彫刻が展示されている。この大顔をバックに記念写真を撮ったことがあるが、世界史が苦手であったワタクシはイスタンブールとゆかりのある人物なんぞということはその時はつゆぞ知らなかったが…。

 アヤ・ソフィアのすぐ隣に位置する17世紀始めに完成したブルー・モスクに比べ、アヤ・ソフィアはすすけた感じがすると前に書いたが、もともとはビザンチン帝国のキリスト教の大聖堂として6世紀に完成 されたものなのでそれも当然だろう。今は赤っぽく塗られているが、かつては黄色のときもあれば縞模様の時代もあったらしい。

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 4本のミナレットオスマン帝国のメフメットⅡ世によって15世紀にコンスタンティノープルが陥落したあとに建てられたものだ。
 現在のアヤ・ソフィアはトルコ共和国として独立したときに博物館となっている。したがって見学には10YTL(新トルコリラ)の入場料がいる。

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 話はそれるが、トルコは数年前のデノミを実施したのに加えEU加盟を熱望して無理しているためか物価が高くなっているらしい。おまけにこのところ円の力不足のせいでトルコリラに対しては大幅な円安になっている。2006年12月頃は1YTL=82円だった対円レートが2008年1月はほぼ1YTL=100円にまで悪くなっており我々日本人にはトルコの物価が思っていたより高めに感じる。この入場料も名古屋の美術館なんぞと大して変らないと感じてしまうのだ。

ブルー・モスクが実質的に出入り自由だったのに比べ、アヤ・ソフィアの入口で手荷物のエックス線検査があったのには驚いた。ここ数年PKKクルド労働者党)による爆弾テロが頻発しており (2007年12月にも市内で発生した)、2007年3月にはPKK関連組織が「地元と外国の観光業者・ホテル・ 旅行代理店を攻撃目標とする」と公言したとの報道があり観光施設も警備は厳重のようだ。

 内部に入ると小雨が降ってきた天気のせいもあり随分と暗い。だが、キリスト教の大聖堂としてスタートしながら偶像崇拝を禁ずるオスマン帝国にモザイク画を漆喰で塗りこまれてモスクに模様替えされ、そして今また漆喰が剥がされて博物館として世界中の観光客が訪れるというこの大聖堂の数奇な運命には逆にこの陰鬱な雰囲気が似合いのものかもしれない。

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 アヤ・ソフィアには観光客も上がれる二階の回廊がある。ここでは蘇ったモザイク画を真近かに見ることができる。二階には正面入口の左にある入口から入りつづら折りになった石造りの道を登っていく。

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 入口同様内部にも警備員が沢山いるがこちらは緊張感はないようだ。若い警備員が話し掛けてきた。何処からきたの?仕事はなにか?子どもはいるの?イスタンブールは気に入ったか?…よほどヒマを持て余しているのか小生同様のブロークン英語で立て続けに質問してくる。モザイク画をバックに写真も撮ってくれた。
 そのうち“ How much?”と訊いてきた。「…?」質問の意味が呑み込めずキョトンとすると
 “ work ! work !”という。小生の稼ぎのことを訊いてきたのだ。もちろん「チープ・ワーカー・アルネ」と答えたのはいうまでもない。
 いずれにせよ、ブルー・モスクの入り口を教えてくれた男性にしろこの青年にしろどうやらイスタンブールの人は人懐っこくて親切心を多分に持っているらしい、ということがわかってきた。