パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

アルへシラスからジブラルタルへ

 アルヘシラスにやってきました。東から西へ向かった今回の西ヨーロッパの旅は、大陸では一応ここが最西到達点となり、このあとはイギリスに向かっての帰りの旅になります。
 
 アルヘシラスについてはスペインのはずれの港町で、今回の旅を思いつくまでは名前も聞いたこともない町でした。
 
アルヘシラスは「モロッコのタンジール(タンジェ)も近い」とガイドブックにありました(持参のガイドブックには地図がありません)。うまくいけばヨーロッパのついでにアフリカにもちょっとだけ行けるかもしれない…。そんな思いがあって最初から行ってみたいと思っていた町でした。
 
 とはいうものの、なにしろ辺鄙なところみたいですので、日本を出発してから道々旅のルートを検討する中でいったんは行くのを止めようかな、とも思ったのですが、最終的にスペインの訪問場所を絞り込んだ時に当初の計画通り訪れることにしました。
 
スペインに来てみて、実際にはマドリッドから直行の列車があったのがわかりました。しかし事前には調べきれませんでした。
 
 コルドバからは朝10時45分発という、今回の旅の中では一番朝がゆっくりできる列車に乗り、午後1時30分過ぎにアルヘシラスに到着です。
 
 途中、結構険しい山道を走ったりトンネルを通ったりして、昔なら陸路は大変だったことを想像させます。もっとも港町ですからバルセロナや他の海沿いの町からの海路は発達していたのでしょうね。
 
 さて、駅に降りましたが、駅のツーリストインフォーメーションが閉まっています。「平日なのに変だな。シエスタかいね?」と思わずひとりごちます。
 
イメージ 1
 
通りに出てもなんだか閑散としています。飲食店も空いていない店が多いようです。道を人に訊こうにもなかなかつかまらなかったため、駅から近い割に宿にたどり着くまでに時間がかかってしまいました。
 
イメージ 2
 
イメージ 7
 
宿についてフロントのアンちゃんの説明で事情がわかりました。ちょうどここ数日がアルへシラスのお祭りで祝日のようだったんですね。アンちゃんは「いい時に来たね」と言ってくれましたが、ツーリストにとって店やインフォメーションが閉まっているのは困りものです。
 
アンちゃんに「明日、アフリカ・モロッコのタンジールまでの日帰りツアーに行ってみたい」と相談すると、港への行き方、お勧めの旅行代理店、ツアーの種類などを詳しく教えてくれました。ただし、巻き舌の英語で早口でまくしたてられたので、半分くらいしか意味を的確に把握できず、英会話力のなさを内心で嘆きながら話を続けました。
 
その中で「ジブラルタルが近い…」という言葉がアンちゃんから発せられました。
 
じぇじぇじぇ…うかつにもジブラルタルはもっと別のところにある、と思い込んでいて今回はまったく旅の埒外に置いていた場所でした。 
 
ジブラルタルの話に突っ込むと肝心のタンジール行きの説明が訳が判らなくなると思い、ここはぐっと我慢してタンジー渡航の話の再確認をします…。
 
 フロント(というほどのものではありませんが)でバックパックを背負ったまま、結構長い時間モロッコ上陸作戦の話になってしまい、疲れてきたので話を切り上げ部屋に案内してもらいます。
 
 
 
 荷物をほどきフロントでもらった略図を見ながら港への道を確認し、街歩きにでかけます。すでに3時近くになっていました。
 
 
 
 港の場所はすぐわかりました。港の諸施設のあるエリアに入ろうとすると、これまた若いアンちゃんが、ワタクシと同レベルの英語で話しかけてきます。
 
うやら「船の切符を持っていないと入れないよ」という趣旨のことを言っているようです。そんなことあるのかなあ、と訝りつつ彼を観察すると、無着成恭氏を若くしたような、ちょっと怪しい雰囲気の奴でした。しかしながら、こちらは港の細かいことは全くかりませんので、警戒しつつも無着氏に、宿に勧められた旅行会社の場所を聞いてみました。
 
 無着氏は旅行会社に連れて行ってやる、と港の入口の前で旅行会社が並んでいる場所に行き、一軒の旅行会社に案内してくれました。
 
たしかに宿で勧められたのと同じ名前の会社です。会社の人とは顔見知りのようです。このあたりで無着氏はこちらを騙すような輩ではなさそうだなと見当をつけましたが、チップ目当てであることは間違いないだろうと感じました。
 
 
 
 会社の人に明日のタンジールまでの日帰り旅行の希望を言ってみると、帰りの時刻が希望より相当遅くなります。変更を希望しましたが、できないということなので結局この会社に申し込むのはあきらめました。
 
そばで様子を見ていた無着氏は、こんどはワンブロックとなりの別の会社(ここも顔見知りのようです。やたら友人が多いようですね…)に案内してくれました。
 
ここでは午前9時出航、午後4時帰航の希望条件の日帰りツアーがありましたので、なんとなく疑わしいという気分は全部払拭はできませんでしたが申し込みます。食事・ガイド付きの日帰りツアーで料金は65ユーロでした。
 
 旅行会社の人が「食事付だが、飲みものは別会計だよ。モロッコの通貨ディルハムも交換するよ。100ディルハム=10ユーロ。使わないで余ったらユーロに交換するよ。うちは毎日休みなしで営業しているから、あす土曜日も大丈夫よ」(日本語に訳すとこんな雰囲気の調子のいい感じ、とご理解ください)と言います。
 
通貨のことなど考えてもいませんでしたので、虚を突かれた感じです。50ユーロの交換を勧められましたが、そんなに土産を買うつもりもなく、半端ですが35ユーロだけ交換し、戻ってからの再両替が可能なことを念押しします。
 
 
 バウチャーを発行してもらい、旅行の航路などタリファがどうしたこうした…など説明があり、「明日8時 緑色のバスが来るので、あそこのブルーの窓のところで待つ。OK?」と明日の出発の話を締めくくりに手続は終わりました。
 
 
 バウチャーを手にし、会社を出た後、無着氏にどうせチップを要求されるだろうから、ついでに「ジブラルタルにはどうやったら行けるのか?」と訊いてみると「バスターミナルからバスに乗って30分くらい」と言います。
 
 「そんなに近いのか」と思いつつ、さらにバスターミナルまで案内してくれ、と頼むとバスターミナルまであれこれ話しながら連れて行ってもらい(あとでわかりましたが駅の真ん前でした)顔見知り?のバス会社の人間に訊いてどのバス乗り場から出るかも教えてくれました。
 
イメージ 8
 
 
 
 もうチップは確実です。ここまできたら訊けるだけ訊いてやれと思い、お礼を言いチップを渡しながらながら「さっき旅行会社の人が明日、港の施設の青い窓のところで待っているよう言われたが、よくわからなかった。詳しくわかるか?港まで行って具体的に教えてほしい」とチップを追加して案内してもらいました。
 
イメージ 9
 
 
 
 「港湾施設のひとつにタンジール行きの船の発着場の建物があり、そこにバス用の駐車場があり、FRSという標識を貼ったタリファという別の港行きのバスがやって来る。そのバスに乗ってタリファまで行き、そこから船でタンジールに渡る。さっき午前8時と言っていたが8時は出発時間だから7時45分に来たほうがいい…」と教えてくれました。
 
 これでようやく納得がいきました。本来は、最初に会社の人に突っ込んで聞けばよかったことなのですが、これもやはり英語力のなさのなせるところですね…。
 
 あれこれ要求したにもかかわらず意外に素直にワタクシと同レベルの英語を駆使して教えてくれた無着氏に再度お礼をいって別れ、一応モロッコ行きの準備は整いました。
 
 
 
一抹の不安が残ったのは事実ですが、それは明日考えることにして、無着氏に教えてもらったバスターミナルに戻り、ジブラルタルを目指します。
 
 バスターミナルの窓口で時刻表を貰うと、午後11時過ぎのジブラルタルからの帰りのバスが最終のようでした。
 
 バスは「ジブラルタル行き」ではなく、その手前のLa Lineaという町行きのバスでした。切符はバスの中で運転手から買います。2.35ユーロでした。
 
 もう時間は午後4時になっていました。
 
 La Linea行きバスの車窓から見ると、写真で見たことのあるジブラルタルの岩山のような姿が遠くに見えてきました…。
 
 
 
しかし路線バスですのであちこち回ります。いつの間にかジブラルタルの岩山が遠ざかっていきます。内心では「本当にこのバスで大丈夫かいね?」と心細くなりかけましたが、そのうち道路標識にLa Linea Gibraltarの文字が出てきたのを見てほっとする始末です。なんだか自分の小心さが嫌になりますね…。
 
 
 さらに道を進むともう遠目ではなくかなり近くにジブラルタルの大きな岩山が見えてきました。このまままっすぐ行けば…と思ったところで左折し、La Lineaのバスターミナルに到着です。アルへシラスから30分ちょっとかかりましたでしょうか。
 
 
 
イメージ 13
 
 
 降りてからの道がわからないのでまた通行人笑顔尋問作戦の開始です。幸いターミナルから5分くらいで「国境」だとわかりました。この商店街を抜けると…
 
 
イメージ 10
 
 
 
 もう目の前にジブラルタルの岩山が見えてきます。
 
イメージ 11
 
 
 そう。ジブラルタルはイギリス領ですから行くにはパスポートコントロールを通過する必要があるのですね。
 
 ここがパスポートコントロールです。残念ながらパスポートを見るだけでスタンプは押してくれませんでした。
 
 
イメージ 12
 
 
 通過した途端、街の看板の表示が英語に変わります。通貨もポンド表示がユーロ表示に優先します。両方使えるようですけど。
 
 
 
イメージ 14
 
 
 
イメージ 3
 
 
 無事ジブラルタルに入国?すると、今朝からの疲れがどっと出てきたので、入国したことで満足し、引き上げることにしました。ところがちょっと先にやけに広い通りがありました。
 
 
イメージ 4
 
 
 
これ実は空港です。空港の滑走路を横断するように人も車も通るのです。空港を横断するのはワタクシも初めての経験でした。
 
 
 
イメージ 5
 
イメージ 6
 
 
無事出国?し、バスターミナルからアルヘシラスへ戻ります。
 
 
 
 
宿のフロントにはおかみさんらしき女性がいました。日本語のあいさつ単語を勉強中の気のいいお姉さまでした。こういうお姉さまがいると旅も楽しくなりますね。