パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

香港・マカオ散歩行 4.1月20日(日) ③お宿に到着

空港からA21のバスに乗って約1時間、バスは九龍側・尖沙咀の目抜き通りである彌敦道(Nathan Road)に入ってきました。

朝方や夜中以外はいつも渋滞しているこの大通りは午後は一層込み具合はひどくなります。

2階席から早めに1階に降りて宿の近くのバス停に降りる準備をします。

1階もかなり混んでいます。アフリカ系の若者がワタクシと同じ宿が入る重慶マンションに行くんだと大きな声で話していたので「自分も同じ建物に行くよ」と話しかけると彼との会話が始まりました。

彼はブラジルから来たとのことで、香港にトランジットで1日滞在したあと、インドのゴアに向かうといいます。

バスの騒音と、聞き慣れない発音に加え彼の早口のために全部は聞き取れませんが、得意の笑顔を振りまいて頓珍漢ながらも和やかな会話を続けます。

ワタクシは重慶マンションの場所は知っていましたが、最寄の停留所の名前は調べてきませんでした。

彼が盛んに“middle road"と言うので、重慶マンションが弥敦道の途中にあるのでそういう言葉を使っているのだ、と理解していましたが、実際には停留所の名前がMiddle Roadということがしばらくしてわかりました。

まあ、ワタクシの英語力はそんなものですね。

無事目的のMiddle Road で下車し、彼と一緒に重慶マンションに入ります。同じ建物内でも宿の場所が別々なので入口でお互いの旅の無事を祈って握手して別れました。

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さて、その重慶マンション(重慶大廈)です。

以前もお伝えしたとおり、かつてはその評判は極めて悪く、犯罪の巣窟であり、漏電や失火もあり、旅行会社の添乗員からはお客さんの旅行者には絶対に立ち寄ってはいけない、と言われるような怪しい建物でした。

とはいうものの、世界中からやってくるバックパッカーや金儲けにやってくるアフリカ大陸やアジア各国からの商人には有名な安宿ビルでした。

もちろん「マンション」というからには個人の住宅もありますし、もともとは本当のマンションだっのでこのビルから学校に通っている子どもたちもたくさんいます。いつの間にかあまたのゲストハウスの巣窟になり、飲食店、雑貨店、携帯電話店、両替所…さらには訳の分からない会社や町工場もある…実に不思議な雑居ビルです。

また映画「恋する惑星」の舞台になったり、沢木耕太郎が「深夜特急」で生き生きと描く香港の安宿がこの雑居ビルの一角にあったりしたことから、香港を初めて訪れた20年前よりもっと前からワタクシもこの建物の名前には親しみを感じていました。

実際に過去3度香港を訪れたときも、必ずこのビルに潜り込み、何とも言えない不気味な雰囲気にヒヤヒヤしながら両替をしたり、2階の飲食店で食事をしたりしていました。

しかし宿泊するまでの「度胸」はずっとつかないまま今日に至っていました。

当時のビルは(20年前に来た時の画像)正面から見るとこんな感じでした。

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いかにも薄汚れたファサードで、窓に括りつけられた室外機が今にも落っこちそうな感じでした。

それが今、正面はこんなにきれいになったんですね。夜には窓のところに色とりどりの照明まで光っています。

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昨年だったか一昨年だったか、NHKテレビの「ドキュメント72時間」で重慶マンションが取り上げられ、警備体制の強化などかつての魔窟と噂された状況から随分改善されたことが分かりました。

そこで「そろそろ泊まってもいい頃合かな」と思い、この雑居ビルの中に数多ある安宿の中からNew Reliance Inn という安宿をBooking.comで予約したのです。

Booking.comで重慶マンションの安宿が予約できること自体、大昔とは隋分変わったもんだと言えるでしょうね。

さて、意気込んで入った重慶マンション、中に入るとスパイスとカレーと八角の香りが入り混じった独特の匂いがすること、アフリカ系・インド・パキスタン系の人がやたらと屯しているのはあまり当時とは変わらないようです。

ただ、別の入り口ですが、建物内には現代風の飲食店や物販店のフロアもできていて、地元の人も盛んに出入りしているのはかつてとは大きく違っていました。

この建物は、正面から見ると写真のとおり一つのビルに見えますが、実際にはA座からF座までに分かれ、共通の建物なのは2階の部分までです。

3階以上はブロックごとに分かれていてお互いに行き来することはできない、という複雑な構造の建物になっています。

従って防火・消防設備は従来に比べて改善されていても、基本的に火事になったら逃げづらい、特に上層階はまず逃げられない構造になっているのは昔のままです。

そこで今回宿を選ぶ最大の選択基準を「階段でも逃げられる低層階にある宿」ということにおいて宿を選びました。

したがって我が宿は一番奥にあるC座の5階(日本風に言うと6階)にあります。

まずは入り口から一番奥に進んでエレベーターで宿に向かいます。

重慶マンションのエレベーターは狭いエレベーターが各座に2台ずつ設置され、左側が偶数階、右側が奇数階にしか止まりません。

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いつも混んでいて途中の階ではなかなか乗り込めない、と聞いていましたが、ワタクシの泊まった3日間は思ったほど不便なことはなく、5階から下に降りるのにもそれほど不自由はしませんでした。

5階に降りてエレベーター横に書いてある平面図をしばらく眺めても、どこに宿があるかよくわかりません。それほど広い階ではないので一軒一軒玄関を見て回っても宿が見つかりません。

やっぱり重慶マンションは迷宮なのか、と思い始めたころようやく宿を見つけました。

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この入り口は何度も見たのですが、宿はてっきり一つの名前がついているだけだと思っていたのと、つい漢字が先に目に入ってしまうので、目指す宿がいくつか並んでいる宿の名前の中に書いてあるのを見落としていたのでした。

どうやらいくつもの安宿をグループとして経営しているようですね。


ドアは施錠されていて、中の様子はさっぱりわかりません。ドアを叩いてもなかなか返事がありません。

そのままドンドンと叩き続け「Hello!」と何度も声をかけると、ドアの右上にある電話が鳴りだしました。

電話に出ると、今ドアを開けるから少し待ってくれ、とドアの中からの電話でした。

そしてドアがガチャリと開いたので中に入ると、背の高いアフリカ系の若い男性が立っていました。

正直言って少し、いや、だいぶ戸惑ってしまったのが本当のところです。

今までヨーロッパやアジアで泊まった宿で、アフリカ系のスタッフが出てきたところではあまりいい経験をしたことがなかったからです。

それでも気を取り直して名前を告げ、プリントした予約確認書を見せるとパスポートの提示を求められ、チェックインの手続きになりました。

なんたって安宿ですので、フロントと言えるほどものはなく、単に机がひとつあって隣に飲み水のタンクがあるだけです。

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無事?チェックイン手続きも済み、部屋に通されます。

といっても目の前のドアを開けたらもう部屋です。廊下と呼べるものもそれほどありません。


一応ここはシャワー・トイレ付の部屋を予約していました。

部屋の広さは正確には測っていませんけれども、あとから計算してみると、長さが約3m15cm。幅は約1m75cm。両手を広げるともう少しで両壁に手が付きます。

ベッドの高さがやたらに高いのはベッドの下にファンシーケースが置いてあって、雑多な備品がそこに入れてあったからでした。

ベッドと壁の間のスペースは人が通れるくらいしかなく、椅子を置く幅はないので椅子はありません。

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部屋には小さい冷蔵庫、エアコン、TV、壁掛け扇風機、ビーチサンダル、トイレットペーパー、使えるコンセントが一つ。

狭いトイレとシャワーがありますが、シャワーを使うと便器はびしょぬれになります。でも熱いお湯がすぐでます。温度を調整するには少しコツがあります。

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壁や床はご覧のとおりきれいなタイルになっており不潔感はありません。トイレも同様です。

タオルと歯ブラシ・歯磨きチューブは用意されていました。コップは…紙コップが2つ部屋においてありました。

wifiはどうかな、と少し心配していましたが問題なくサクサクつながりました。

一言でいうと「宿は寝るだけでいい、と思うような一人旅の節約旅行者」には必要最低限のものはある、ということでしょうか。


アフリカのあんちゃんは聞き取りにくい英語でしたが、案外親切にいろいろと説明してくれた上で鍵を渡され、部屋の出入りについての説明を何度も繰り返してくれました。思ったよりも親切でフレンドリーなguyでした。

宿には部屋が6室あるようでした。ワタクシの部屋は下の図でいうと173番の部屋になります。

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彌敦道を挟んで目の前にはあのThe Peninsula Hong Kongが鎮座ましましております。

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Pninsulaはともかくとして、ほかにもちゃんとしたホテルはたくさんあるのに何を好き好んでこんな狭く怪しい宿に泊まるのか、と思われるでしょうが、まあ好奇心としか言いようがありません。

従って部屋の狭さも面白がりこそすれ、まったく苦になりません。正直、自分でも物好きだなとは思います。

看守長にはこんな宿に泊まるとはもちろん言っておりません。もっともどこに泊まるのか聞かれもしませんでしたが…。



さて肝心の宿泊料金ですが、食事は外でするつもりでしたので宿泊のみの料金になります。

現金ならば3泊で$894.6でしたが、日本で両替した香港ドル八達通を買ったので残りは$200しか手持ちがなく、クレジットカードで払いました。

すると3%割増しになって$921(約13,170円)、1泊あたり4,390円という計算になりました。

香港は宿泊費が高いといわれます。パッケージツアーで二人旅ならいいホテルにお安く泊まれますが、一人旅だとお手頃価格のホテルは限られてくると思います。その香港でこの価格ですから、価格だけ見たらワタクシには及第点の安宿と言えます。


とりあえず部屋の点検も終わったので、外に出ます。セーフティボックスはありませんので毎度のことですが現金・パスポートは分散して身に着けて外出します。

念のため階段で1階まで降りてみることにしました。

途中の階の階段の踊り場では…

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1階では…

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本当に治安は改善したんでしょうかねぇ…。