パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

1月6日(土) 朝の散歩から

 昨晩は慎重にすべき到着初日にもかかわらず、名古屋にいるときと変わらず飲み屋で大騒ぎしてしまったのを反省し、今日からは清く正しく、美しく?観光することを心に誓った。

 午前中はガイドブックに載っていたウエンディ・ツアー社の日本語ガイド付きの半日市内観光ツアーに日本からネットで申し込んでおいた。はじめての土地で時間もあまりないので最初に効率的に観光スポットを押さえておこうと思っていたからだ。
 
 ホテルの朝食は朝6時からと随分早くからとれるが、いつもの旅のように朝の散歩にでかけることにした。朝食は手ごろな店をみかければそこで食べてもよいのだ。

 この季節ホーチミンの朝は6時を過ぎないと明るくならないので、6時半ごろにホテルを出る。ホテルで手に入れた市内地図とガイドブックの日本語地図のコピー、それに昨日の残りのドンをポケットにねじ込んだだけの軽装で出発。曇り空のせいか思っていたほど暑くはない。

 ホテルを出るとさっそくセオム(バイクタクシー)のおっさんに声をかけられる。「オハヨウ!モトバイ?ドコイク?」。彼らは自分たちのことは「モトバイ」と云うようだ。
 それにしてもいきなり日本語で声をかけられるとは…。街角にタムロしている連中だけでなく、通りを走っているバイクからも声をかけられる。すでに相当の数のバイクが走っているのだが、商売熱心この上ない。

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 行き当たりばったりに歩いていくと大きな通りに出た。地図でみるとレロイ通りというメインの通りらしい。そのまま西の方向へしばらく行くとベンタイン市場の特徴のある建物が見えてきた。なんだ意外に近いではないか。

 そこここの路上では独特の傘をかぶった物売りや、店構えもなく路上に調理道具を置き、座って食事を提供している露天の小食堂をたくさん見かけた。物売りも店の主もみなたくましい女性たちだ。客は適当に周辺に座って丼をすすっている。

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 ベンタイン市場前のロータリーの一角に、何人かが食事をしている露天の店が目に入った。近くに寄って見ると大きなザルにシラタキみたいなものがどっさり盛ってある。これがフォーだ。HGではない。

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 ちょうど腹もすいてきたので、このお世辞にもきれいとはいえない店…ともいえない店で指差し注文でフォーを食べる。英語は通じない。母親が作り、娘らしい若い女の子が丼を客のテーブルに運ぶ。一応椅子とテーブルがある。
 椅子は銭湯にあるプラスチックの椅子みたいな低いものなので、テーブルの位置も低い。娘は写真にも写ってるピンク色の生地の薄いパジャマを着ている。朝早いからかな?…と思ったら、あとでわかったことだが、このパジャマみたいな体にぴったりした服は外で着る普段着なのだ。

 調味料の入れ方がわからないので、娘に手真似で頼み、地元風の味付けにしてもらう。少し辛いが、香りのよい野菜もたっぷり入っており、なかなかおいしい。

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 同じテーブルの勤め人風の男性が食べ終わり、席を離れるときに「ニホンノカタデスカ?」と流暢な日本語と笑顔で声をかけてきた。いきなりだったので少し驚いたが、うれしかったのでこちらも精一杯の笑顔を作って「日本語お上手ですね。行ってらっしゃい」と返した。幸先がいい朝だ。

 食べ終わると「ティンティエン?(いくら?)」と覚えたてのベトナム語で勘定を頼む。ベトナム語は中国語と同じように声調があるので、ガイドブックのカタカナだけで覚えたのでは通じるかな?と思ったが、母親は理解したようだ。

 母親はおもむろに札束を袋から取り出し、その中からくたびれた1万ドン札をつまみ出した。そうか、このフォーは1万ドンなのだ。

 店を離れるとき母娘に「カムオン(ありがとう)」と声をかけると、にっこり微笑んでくれた。