パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

2006年1月6日② タイ航空機内にて

      (この旅日記は2006年1月にバンコクを一人旅したときのものです)
 
 出国手続きの列を見ると依然として相当な混み具合である。ロビー内の食堂等の施設もたいした店がないので早めに出国手続きに向かう。
 
 長い列は少しづつしか進まない。警備の係員が再三にわたって携帯電話や財布、金属のついたベルトなど金属製のものは鞄の中にしまえとアナウンスする。あまりにもしつこく繰り返すので半分冗談のつもりでピップエレキバンはどうなのか尋ねると、真顔で「問題ない」と言う。当たり前だろう。ピップエレキバンではハイジャックはできないからだ。
 
 列が遅々として進まないのは、うるさいほどのアナウンスにも関わらず、金属探知機にひっかかる乗客が多く、そのたびごとに検査が中断するからだ。
 
 自分の番になって探知機は無事通過したが、女性係官が首からぶら下げたパスポート入れまで触ってチェックしたのは初めての経験だった。やはり以前とは比較にならないほどセキュリティ・チェックは厳しくなっているのだ。
 
 今度は出国手続き。何年か前から出入国カードが不要になったのでその分楽になったが、一人ひとりの出国手続きも以前より時間がかかっているような気がする。ここも女性の検査官だった。男の係官より多少は愛想がよい。かつては女性検査官でも仏頂面が多かったが・・・。
 
 午前8時半までにすべての出発手続き終了。やれやれ。自宅にメールする。搭乗ロビーはやはり狭い。免税店や飲食店の設備もこじんまりとしている。新空港はもっと規模が大きいのだろうか。飲食店は軽食だけしかなく、結局朝食はうどんとビールになってしまった。メールの返信がきた。「気をつけて」とのこと。
 
 
 
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 午前9時45分頃。呼び出しアナウンス。名前がよく聞き取れず、自分の名前に聞こえたので一瞬ギクリ。搭乗口の前にタイ航空のCAたちが待機している。薄いピンクの制服を着ている。日本人のCAもいるようだ。
 
 しばらく待っていると搭乗案内。搭乗口でまたパスポートのチェック。ずいぶん念入りにやるものだ。席について見回すと満席に近いようだ。正月をはずし、かつ大災害直後なのに結構いるものだ。
 
 CAたちはいつのまにかタイの民族衣装に着替え、「サワディー・カー」と朝の挨拶を乗客に投げかけている。服は体の線を強調するデザインなのでなかなかエキゾチックである。美人揃いではあるものの、日本的な感覚ではオカマっぽくみえるのも少なくない。それも含め、気分はすでに「バンコク」なのだ。乗客の顔を見回すとタイ人もいるようだが、年配者の顔は日本人と区別がつかない。
 
 いよいよ離陸。時刻は午前10時35分。タイとは2時間の時差である。時計を2時間前に戻す。現地時間は午前8時35分なのだ。スムースに離陸し、水平飛行に移ると飲み物のサービス。9時頃である。タイ・ビールとも思ったがこれからいくらでも飲めると思ったので白ワインを注文。アンケートを書くと無料航空券があたるサービスがあるとのアナウンス。今までにない現実的なサービスだ。エアコンがきいているので少し寒い。ワインが胃に染みる。
 
 現地到着予定時刻は午後2時50分。約6時間半の飛行である。現在のバンコクの気温は摂氏25度。いやはや。朝でこれくらいの気温だからやはり日中は30度以上になるのだ。
 
 機内誌やデューティフリーショップのガイドをパラパラ見ていると、英語、中国語、日本語で書かれている。中国語の商品名を見ていると面白い。以下列挙してみよう。
 
    人頭馬  レミーマルタン(絵柄からきている)
    百齡檀  バランタイン 
    芝華士  シーバス(リーガル)
    媽爹   マーテル
  泰國航空 タイ航空
  空中客車 エアバス
  電腦滑鼠 マウス(傑作である)
  唅利波特 ハリーポッター
  圓珠筆  ボールペン  ・・・・・・
 どですか(名古屋弁)。面白いでしょう。
 
 腹具合が本調子でないので数回トイレを使う。酒も控えようと思っていたが、CAに声をかけられたのでつい白ワイン2杯目を注文してしまう。食事についてのアナウンスがあった。6時間あまりの飛行なので、昼食が1回と到着前に和菓子のサービスがあるとのこと。せっかくなら和菓子よりタイの菓子のほうがいいのに、とも思ったが、タイ人も結構搭乗しているのでそんなものかと思い直した。
 
 機内前方はビジネスクラスであり、巡航中はカーテンで仕切られている。このクラスは搭乗も優先である。シドニーからの帰途はビジネスクラスだったが、優先して搭乗したっけかな。
 
 昼食が配膳され始めた。CAには相変わらずの重労働である。チョイスは魚とチキン。TVのCMを思い出してしまった。チキンをオーダーしたが、怖い顔で「フィッシュ・オウンリー!」と言われることもなく、無事チキン料理が配られた。携帯電話はカメラの使用も不可とのことで写真は撮れなかった。
 
 メニューは以下のとおり。チキンの照り焼き・焼きそば・太巻き2個・茶そば・ババロア・パン。全体に薄味であった。飲み物は赤ワイン、コーヒー、シン・ビールを注文。シン・ビール(シンハー・ビール)はアルコール度数が6パーセントもある。ワインはラベルを見るとフランスワインのヴァン・ド・ペイであった。銘柄はわからない。ダイエット中だからという訳ではないが、半分くらい残してしまった。以前ならペロリと平らげたのだが・・・。年なのかな。この旅行ではダイエットは一時中止のつもりなのだが・・・。
 
 CAはしきりに客席を回り、パンや飲み物を勧めてくれる。笑顔を絶やさず、とても気持ちのよいサービスである。ただ日本語で紅茶を勧めて声をかけて回るときに「コーチャハ イカデスカ~」。タイではミルクを入れた紅茶は「シロイカ」なのだろうか。
 
 相変わらず空調がきついので、毛布を膝掛けに使っていたが、飲み物を勧めにきたCAに寒いので少しウイスキーをくれと頼む。しばらくすると多目についだグラスを持ってきてくれた。ビジネスクラスで使っていたカミュのブランデーである。おこぼれかな。
 
 そういえば、機内放送でもエコノミークラス症候群対策を放映していた。サッカーの高原は再三エコノミークラス症候群の肺血栓症を起こしているが、彼が移動するのはビジネスクラス以上だと思うのだけれど・・・。病名のせいでエコノミークラスで移動していると世間で思われているとしたら気の毒ではある。
 
 CAの胸の名札が小さくて名前がよく見えない。タイの人名で初めて印象に残っているのは、ボクシングの世界フライ級チャンピオンでファイティング原田と防衛戦を日本で戦って敗れたポーン・キングピッチである。CAにも「なんとかポーン」という人がいた。日本人CAはビジネスクラスが主体でこちらにはあまり顔を出さない。タイ人のCAたちはリトルマンと言われるほど小さくはないようだが・・・。
 
 その彼女たちが食事後なにやらカードを配りだす。あまり取る人はいない。通路をはさんで斜め前のタイ人のじいさまがCAと話してカードを貰っているところを見るとタイ人用の入国カードなのだろう。・・・と思っていたら、隣席の日本人が半ば小生に向かって「入国カードでないかな」と言ってくれたので、通りかかった日本人CAに確認すると間違いなく入国カードだという。やれやれ。これをきっかけに隣席の日本人と話をすることとなった。
 
 彼はタイには仕事で行くとのことで、すでに10回くらいの渡泰経験があるという。だがバンコクから150キロくらい離れた場所にある工場に、指導だか検査だかで毎回行くのでバンコクのことは全然知らないと言う。英語もタイ語も苦手で日本語で通しているとのことだ。バンコクには車で会社の人が迎えに来るのだ。
 
 単に遊びに行くので、仕事で行く彼に少々申し訳ない気もしたが、まったくの一人旅で、ホテルだけ予約して自分で移動して街をうろつく小生のことを、半ば賞賛してくれたので少し気分がよくなった。でも半ばはあきれていたのかもしれない。
 その彼もさっき配られた入国カードが変更になった新しいものであることを知らなかった。確かに「地球の歩き方」の見本とは異なっている。
 
 午前11時。到着まであと4時間余り。映画が上映される。このエアバスは各席にモニターがあるのではなく、天井などに何台かモニターが設置されている旧い型の機体なのだ。
 したがってプログラムも自分では選択できない。上映されたのは「スカイ・キャプテン」というアメリカ映画。字幕が付いていた。不思議な画像だったが、解説を読むと特殊な処理をしていて製作に相当に期間がかかったそうな。主演女優はどこかで見た顔と思ったらやはりグィネス・パルトローだった。終演は午後12時15分。到着まであと1時間40分だ。
 
  もう一本の映画は「セルラー」という携帯電話をキーにしたサスペンス・ドラマ。大して面白くないかな、と思っていたが結局ついつい見てしまった。ハリウッドで売買される映画はやはりそれなりのエンタテイメントということである。
 
 午後2時に終演後、無料航空券の抽選会が行われた。ビジネスクラス、エコノミークラスで一本づつ当たるのだ。乗客の子供に籤を引かせようとCAが奮闘するがなかなか言うことをきかないので客席から笑いが漏れる。結局子供の親が引き、後方の席の人が見事当選。ここで当たったら一年分の運を使い果たしてしまう、と言い聞かせて我慢した。それにしても泰國航空は面白いことをする。
 
 午後2時15分。ただいまベトナム上空。もうまもなくだ。イタリアへ行くことと比較するとずいぶんと楽である。
 
 通路をはさんで左前のさっきのタイ人のじいさまはタイ人のCAとよく話し、スプーンとフォークを器用に使いこなしていたが、見ると日本の文庫本を読んでいる。日本人なのか? 風貌ではさっぱり見分けがつかない。その前の席の婆様たちはタイ人なのか。年寄りはさっぱりわからない。
 
 バンコクの気温が32度との放送。着陸まであと25分。着陸予定時刻は午後2時40分だとのこと。
 麻薬持込についての注意アナウンス。香港や釜山ではなかったような気がするが・・・。それだけ実際の麻薬の出入りがあるということなのか。やる奴はアナウンスを聞いても関係ないと思うけれど・・・。