パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

中央公論社 世界の旅 1・2

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 昭和36年11月中央公論社発行「世界の旅 1 日本出発」、昭和37年1月発行「世界の旅 2 

インドから熱砂の国へ」という古本です。

 先日古書店のサイトを通じて購入しました。別に話題の本ではありませんので2冊で送料込み1700

円という廉価です。


 中学生の頃にこの2冊の本を読んだことがありました。発行年から考えると父親が古本屋から買ってき

た本だと思います。手元にはすでになく、海外を散歩するようになってから一度読み返してみたいものだ

と思っていたのですが、ふと思いついてネットで探してみると、とある古書店のサイトで見つけることが

できたのです。


 ワタクシが読んでいたのはこの1・2巻だけですが、本来は大宅壮一桑原武夫阿川弘之が編集し、

南北アメリカ、西ヨーロッパ、ソ連・東欧諸国、中国・東南アジア、南極・ヒマラヤまでもカバーする全

10巻の堂々たるシリーズもので、まさに「世界の旅」にふさわしい内容だったようです。



 発行年が昭和36年からということもあり、1・2巻の旅はほとんどが昭和30年代前半頃の旅につい

てのものでした。

 1巻には北杜夫の「どくとるマンボウ航海記」が全部転載(旅行時の写真付き)されています。ワタク

シがマンボウの作品に触れたのはこの本が初めてでした。

 「航海記」は何度も読み返したのですが、それ以外の旅の内容はすっかり忘れていました。今みると執

筆陣の中には、貧乏旅行をした一般人もいましたが、瀬戸内晴美岡部冬彦戸塚文子小田実、梅棹忠

夫…など当時としては錚々たる執筆陣が名を連ねています。

 「どくとるマンボウ航海記」ほどではありませんが、2巻では小田実の「何でも見てやろう」から一部

が転載されています。まさに何でもありの世界ですね。


 保存のよい古書店だったのか第2巻には付録の「世界旅行読本2」という小冊子が付いていました。普

通の人が海外に気軽に出かけることなどまだあまりなかった当時、日本から外国に行くにはまず船便で行

くのが主流だったのでしょうか。したがってこの冊子にも船旅のコツなどが描かれています。


 面白かったのは「全部で800グラム、お値段は620円です」との謳い文句で「旅行カバンの片隅に

しのばせる、ホームシック予防薬のすべて」が紹介されていました。いくつか品物とキャプションをご紹

介してみましょう。

☆うめぼしガム(森下仁丹20円):「従来のガムの形式に日本の味を添えた苦心の作…」

☆寿こんぶ(小倉屋40円)「昆布はスルメと並んで日本在来のチューインガム…」

☆ふぐのひれ(松浦商店30円)「焙って酒の中に入れれば日本のムードは部屋中に…」

かつおでんぶ(にんべん30円)「パンにはさんでも食べられる…」

☆瓶詰海苔佃煮(紀文30円)「紀文のビンの小ささに魅かれた…」等々

 値段を見ると隔世の感がありますね。また、どうも長い船旅の中、船室で食べるのを前提にしたような

品揃えのような気がしますね。

 飲み助のワタクシですが「ふぐひれ」なんぞは思いもつきません。当然日本酒もカバンの中に入れて持

っていくという前提なのでしょうねぇ。



 パラパラとめくり読みをしていると父親のことを思い出しました。こういう本を読んでいたところから

すると海外旅行にあこがれていたのでしょうか。

 若いときは兵隊に取られ、ラバウルサイゴン、ペナンなどに居たことがあるようですが、もちろん

戦争に駆り出されたのであって海外旅行なんてものではなく、平和な時代に再び外国に行くことを夢見て

いたのかも知れませんね。実現しないままに亡くなってしまいましたが…。

 ウロチョロ散歩するワタクシの性癖はどうやら父親譲りなのかもしれません。