パパグロッソの街歩き・一人旅

リタイア組です。身体は太いですが、ブログは細々と続けていきます。

2006年1月9日① ファランポーン駅での一コマ

      ( この旅日記は2006年1月にバンコクを一人旅したときのものです )
 
 午前4時半頃に目が覚めてしまった。昨晩は12時頃に眠っているので、睡眠時間は5時間といったところだ。実質的には今日が最終日だ。
 
 今まで海外旅行をするときは、帰国便は午前中または、午後がほとんど。シドニーからの帰りが夜の出発だったが、今回は10日の午前1時過ぎである。安いチケットだと午前8時とかの早い時間のフライトとなり、帰国当日の朝は相当早くにホテルを出ないと厳しいので、あえて最終日の夜までゆっくりできるチケットにしたのである。ホテルも今日の午後6時まで半額の2000円で使うことができる形にしたのだ。
 
 今朝はホテルで朝食を摂る。トーストのコーナーに行ったら、縦型のベルトコンベアーみたいなパン焼き機から焼けたパンが出てきたので、「グッドタイミング!」と思ってパンを取ろうとしたら、横から白人男性が苦笑いしながら「それは僕のだよ」と言ってきた。よくみればこの機械はパンを自分で入れて焼くものなのだ。
 
 考えてみればあたり前の話で自動的に焼けて出てくると思い込むほうがどうかしている。みっともなさにパン焼き機より赤い顔をして男性にお詫びを言い、それから自分でパンを焼いた。
 
 レストランフロアには大きな液晶TVが設置されていてムエタイの画像を流している。観客もかなりいる映像なので、昨晩の第2部の試合なのだろうか。
 
 本日の朝食は牛乳、トマトジュース、サラダ、トースト、ジャーマンポテト、ヌードル、ベーコン、ハム、コーヒーをバイキングで少量ずつ取って食べる。
 
 読売新聞の国際版が置いてあったのでコーヒーを飲みながらゆっくり読む。便利な世の中になったものだ。
 
 午前7時35分、ファランポーン駅のホームに立つ。特に目的があったわけではないが、「とにかく駅へ行ってみよう」と思い、ここまでやって来たのだ。
 
 駅構内はやけにやかましい。ツアーのガイドさんの言っていたことを思い出した。タイの鉄道は電化されておらず、ディーゼルなのでアイドリングでも音がひどいのだ。まるで鳥取駅のようだ。
 
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 薄暗いホームには、これまた煤けた列車が止まっている。車両の入口に大きく「2」や「3」の数字が書かれている。二等・三等のことだろう。車両の中に入ってみると外側同様にあまりきれいではない。汚れている、というわけではなくやはり煤けている、というのがピッタリである。座席もペコペコみたいで長時間座っていると尻が痛くなりそうだ。運賃が安いのも納得である。
 
 車両を離れ、駅の内外を散歩する。バンコクの中心街は近代的なシティであるが、ちょっと中心街からそれると、いかにもアジア的な空気と臭気が充満する。駅周辺も典型なアジア的雰囲気の街である。
 
 また駅のホームに戻る。ホームは1番から12番までだが、1/1,1/2というややこしい表示のホームもあるので全部でトラック数としては十四本あるようだ。
 駅のファサードはイタリア様式とのことで、半円形をしている。ここはテルミニ駅やフィレンツェSMN駅、ナポリ中央駅同様、終着駅方式である。線路を見るとどうやら狭軌のようである。
 
 せっかく駅に来たのだから記念に切符を買ってみる。目的地はドン・ムアン空港のある駅である。窓口に行って係りの女性に声をかける。「チュミマチェン・ファランポーン・イチマイ・アルネ」。窓口の女性は怪訝な顔で「▲☆&%$?」。駅名を間違えたことに気が付き、あわてて「ドン・ムアン・アルネ」と言い換える。外国では切符1枚買うのにもひと騒動である。
 
 値段は10バーツ(約27円)。機械打ちされた券面表示を見ると所要時間は43分である。時刻表を見るとビナーリオは11番線。発車時刻は午前8時20分となっている。せっかくだからドン・ムアン駅まで行こうか。
 
 2バーツ払って手洗いを済ます。10バーツのトイレはシャワーもついていて体を洗えるのだ。熱帯ならでは、ということか。
 
 11番線のホームに進むと沢山の人が大荷物の傍で列車を待っている。日曜の朝にも拘わらず、老若男女で大賑わいである。
 
 午前8時に「鐘が鳴った!」と思った瞬間、構内に大音響の音楽が流れ、ホームにいた人たちが一斉に起立し直立不動の姿勢になった。ルンピニスタジアムに流れた曲と同じかどうかはわからなかったが、国家あるいは国王を賛美する曲なのだろう。同じ姿勢で直立しながら周りの様子を伺って見ていた。
 
 
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 音楽は短い間で終わり、すると皆もとのの姿勢にもどり何ごともなかったように喧騒がまた始まった。
 
 ホテルで確認したタクシー料金は空港まで600バーツ。空港リムジンバスで100バーツ。地下鉄と列車だと25バーツ。タクシーと列車では約25倍の開きがある。タクシーが高いとみるのか、列車が安いと見るのか。いずれにしろ公共交通機関は日本で考えられないくらい安いようだ。